とうとうきたズミクロン
ライカ使いの基本の「き」と知っていながらも、ずっと避けて通っていたズミクロン。ライカ入門時に50mmはいきなり第三世代ノクティルックス(E60)にいったこともあり、その後もズミルックスやズマリット、クセノンとハイスピードレンズにばかり目がいってしまい、これじゃいかんと思ったら今度はつい沈胴レンズに目がいってズミクロンを飛び越えて新エルマーにいってしまったりと、とにかくズミクロンとは縁のないライカ人生でした。
一時DRズミクロンを手にした事がありましたが、その時はフィルムのボディーを持っておらず、デジタルで近接でしか使えなかったのでほとんどテーブルフォトぐらいでしか出番がなくてもどかしい思いをしたのでこれはカウントしないことにしておきます…
何故今ズミクロンなのか?
先にもあげた通り、手持ちの50mmレンズは数あれど、エルマーもDRズミクロンも手元にない今となっては、一本も0.7mまで寄れる50mmが無いのです。この0.3mが意外と大きい…。
以前は一人で撮り歩く事が多く、そこまで近くが撮れなくてもさほど不自由はなかったんですが、最近写真といえば、家族とみんなでお出かけした時に撮る事がほとんど。そんな時最短1mだとどんなとき困るかというと、喫茶店でお向かいに座った家族を撮るとき、車や電車で隣に座った家族を撮るとき、インスタ映えしそうな美味しそうな食べ物を撮るとき、だいたいかなり仰け反るか椅子から立って撮るしかないんです。
ふと、ズミルックス35mm ASPH.の稼働率が高い理由を考えてみたんですけど、もちろんあの開放で被写体がスッと浮き上がるあの描写が好きなのはもちろんながら、最短0.7mっていうのも実は大きな理由の一つなんじゃないかと…
エルマーでよかったじゃん!?
確かに新エルマーは最短0.7mでした。でしたけど、もうちょっと周りをボカしたい。F2とF2.8の差って大きい。そんなこと言ったら、ずっと使ってるF1.4〜1.5のハイスピードレンズ達の方がボケるだろって突っ込まれそうですけど、彼らはみんな揃いも揃って最短1.0mなんです。しかも、半段から1段絞った方が、実はかえって被写体が立って立体感が出たりするんです。しかも0.7mまで寄ったら、開放からでもスッキリと被写体が立つズミクロンの方がむしろ背景のボケが活きる…。
現行のノクティルックスがあるのなら、むしろもう一本はズミクロンぐらいの方が使いやすいんじゃないの?と思ってしまったわけです。
どの世代のズミクロンにするの?
最短0.7mは必要条件なので、第2から現行までが候補になります。指掛かりがついてる第3世代は魅力的なんですが、モノクロームでも使うこと考えるとハイコントラストな第3世代以降は避けたいかなぁ…と、意外にもあっさりと第2世代がいいなってことになったものの、いざ第2世代のズミクロンを探すとこれがなかなかいいものがない。
色々、事あるごとに実店舗やネット通販、はたまたeBayまで覗きましたが、どれも意外にボロボロだったり、レンズにカビ痕キズありだったりするのにいい値段がする。少し前にお知り合いに2nd.をお勧めいただいた時に、つい間違ってズミルックスの2nd.を買ってしまったという自らの性を呪いながらウロウロしているときに、ふとずっと売れ残っているズミクロンに気づいてしまいました。カビ痕ありのためかなりお安い。でも写りはいいよと推している。キズならともかくカビ痕はなぁ…とスルーしていたのにどうしても気になりだして、気がついたら購入してました。リスキー(笑)
いざ届いてみると、ズミクロン、ころっとして小さい。カワイイ。外観は驚くほど綺麗。カビ痕は前玉に少し。絞りリングに粘りと指標にずれあり、ヘリコイドの遠位側に引っかかりあり。でも確かに、写りは全く問題がない。惜しい、実に惜しいんだけど、なんだか縁みたいなものを感じていたく気に入ってしまいました。
仕方ないので、困った時のリペアマンさんに相談。事情をお話しするとオーバーホールをお薦めいただき、その料金を購入金額に加算してもお安い事が確認できたので、もうとことんまでやってもらうことにしました。絞りの粘りは固着が怖いし、ヘリコイドはちゃんと治しておかないと後で痛い目見るし撮影するときにいちいち気になるしね…。
というわけで、大好きな50mmにズミクロンが加わったよ!というお話でした。